どうしたって無理なものは無理なんだと思う。
そうしたっていつかはこの関係もなくなってしまうものなんでしょう?
見なくてもいいものをわざわざ見るなんてことを私はしたくないし、あんたも絶対そういうタイプ。付き合いは長くはないけどそこまで短いわけでもない。それくらい分かるよ。


それなりに楽しければそれなりの満足だし余計に傷つくことなんてしなくっていいよね
裏を返せば、多分私じゃなくてもそれなりに楽しく過ごすことが出来ることが分かってる。お互い様だね。



(新しい生活)
(テニス・・・はきっと向こうでもやるんだろうな)
(新しい生活)
(新しい携帯に変えたら教えてくれないのかな)
(新しい友達)
(新しいかの、じょ・・・?)


「楽しかったよ」
「な、ほんまに」
「今までありがとう」
「はは、決まり文句やな」


この先私たちが出会うことはもうないのかもしれない。
今生の別れ?をもしかすると私はたった今経験しているのかもしれない。あっけないものだ。



「じゃ」


出された右手。つなぎとめるものが欲しい、と、初めて思った。

いや、本当はもっと前から思っていたかもしれない。


「ばかなこと言っていい?」
「あかん」
「言うね」
「・・・ほんなら聞くなや」


「行かないで」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・うそだぴょん」
「嘘かい!」




「新しい彼女は当分作らないでください」


珍しく驚いた顔した忍足は優しくわらった。
そして「おおきに」と言った。



(さよなら、大好きでした)